第七十四夜 ベンリアック ペドロヒメネスパンチョン

ウィスキーの色について。やはり主役は香りと味なのだけれど、よく見てみると外見にも個性が出ている。

原酒そのものの色は透明、若干黄色。ウォッカなどウィスキーよりも更にストイックに蒸留した酒が無機質な透明であるのと比べるとだいぶ暖かい風合いだ。

ここに熟成の際に染み出す樽の成分が混じる。
ウィスキーの色を琥珀に例える人がいるが、そんな色になってゆく。
勿論どんな樽を使うかによって色合いは様々だ。
例えば今日のんだベンリアック。ペドロヒメネスは葡萄の種類の名前だが、それで作る甘いシェリー酒の樽で熟成させている。少し茶色がかった薄い黄色。年季の入ったステンドグラス。実は昨年赤ワインの樽で熟成させたクラレットフィニッシュを飲んでいる。それは名前どおり薄く赤味がさしていた。

あと色を決めるのは加水の加減だ。樽出しそのままのウィスキーはいささか度数がしんどいので、水を加える。それが色の濃淡に影響するのは間違いない。

因みに何でそんなことすんだよ、樽出しのままが旨いに決まってんじゃないか、という向きにはカスクストレンクスという売り方がある。カスクとは樽のこと、つまり樽からそのまま。やはり色と度数は濃い。

悪酔いするときは大体このカスクストレンクスが計算を狂わせていることが多い。同じワンショットでも、パンチの重さが違う。

話はそれましたが、今日は目で楽しむウィスキーの話。